
Ymane Moka
山根 萌佳
広告プランナー
2017年 アステール卒業
2017年 金沢美術工芸大学 入学
2021年 株式会社 電通入社
高校2年の時に美大受験を志し、美術予備校「アステール」の門をたたいた
モカさん。3浪という苦しい時期を乗り越えて
金沢美術工芸大学 視覚デザイン専攻に見事合格。
卒業後は大手広告代理店(電通)に就職し、CM企画やSNSプロモーション、
先端デジタル装置の開発まで手がけるプランナーとして活躍中。
自身の受験生活から就活の裏側まで、ありのままを語っていただきました。

1. アステールに入ったきっかけと予備校生活
── 美大受験をしようと思った時、アステールに来たきっかけは何だったのでしょうか?
モカ:高校2年生の時に美大受験をしたくなったのですが、美術部 にも入っていませんでしたし、周りに絵の教わり方や相談できるツテも全くありませんでした。「家から近くて、美大受験用の本格的なスキルが学べる場所はどこだろう」とインターネットで検索して見つけたのがアステールでした。ホームページに載っていた参考作品の質の高さや合格実績を見て、「とにかく行ってみよう!」と決めたのがきっかけです。
── アステールでの5年間で、特に授業で印象に残っていることは何ですか?
モカ:基礎の「DDX(立体・デッサン基礎演習)」ですね。それまでは明暗の分け方も分からず手探りで描いていたのですが、自学では絶対に辿り着けない基礎の形や概念を、全員でじっくり時間をかけて学べたことが大きかったです。
あとは、全員の作品をずらっと並べて行う講評会です。ボロクソに言われてメンタルをやられることもありましたが(笑)、すごく良い刺激になりましたし危機感が煽られました。他の大きな予備校だと人数が多すぎて埋もれてしまう人もいると聞くので、全員が平等に良い意味でメンタルを削られながら切磋琢磨できる環境は、アステールならではの魅力だったと思います。

── 授業以外で思い出に残っているエピソードはありますか?
モカ:流しそうめんをやったり、切り株の上に火を熾して鍋を作ったり、海へレクリエーションに行ったり……予備校なのに面白いイベントが多かったことです(笑)。コロナ前だ ったこともあってすごく賑やかでした。また、ご飯の時間にみんなで囲んで食べたり、自分たちで大きな味噌汁を作って振る舞ったりしたことで、生徒同士が本当に仲良くなれましたね。スランプで落ち込んだ時には源兵衛川(注1)のせせらぎを散歩したり、名物の予備校猫たちと戯れて心を無にしたりして乗り切っていました。

注1)源兵衛川
アステール近郊を流れる清 流散策路。豊かな自然と水辺の環境が広がっており、受験生の絶好のリフレッシュスポットとなっている。
2. 金沢美術工芸大学 合格への分析と戦略
── 3浪の末に金沢美術工芸大学(視覚デザイン専攻)に合格できましたが、
最大の要因は何だったと思いますか?
モカ:「分析と戦略」に尽きると思います。金沢美工のオープンキャンパスに行った時、色彩構成の評価基準が独特で最初は戸惑いました。ですが先生方が「この大学が求めているベクトル」を正確に捉えて分析し、指導してくださったのが大きかったです。多摩美向け、金美向けといった志望校別の傾向を把握し、自分がどこを頑張れば評価されるかが明確になりました。
入試直前にも先生が「次の課題は文字や数字と有機物の構成になると思う」と予言されて、本番で本当にその通りの出題になった時は鳥肌が立ちました(笑)。先生方の高い分析力を信じて突き進んだことが合格に繋がったのだと感じます。

── 受験生に向けて「これだけはやっておいた方がいい」というアドバイスはありますか?
モカ:デッサンで「自分の得意なポーズ(手のポーズなど)を1つ完璧に作っておくこと」です。すべての表現を完璧 にする時間は限られていますが、「これだけは誰にも負けない」「本番で迷わず生かせる」という武器(十八番)を1つ作っておくと、試験本番で強力な支えになります。
3. 大学生活と大手広告代理店(電通)への就職
── 大学に入学してみて、事前のイメージとのギャップや楽しかったことは何ですか?
モカ:ギャップで一番驚いたのは、「意外と絵を描く授業がほとんどない」ということでした。絵の巧みさは前提条件であり、問われるのは「どう構成するか」「どういう視点で企画するか」という思考力や体力です。例えばカニを1匹買ってきて、60方向からスケッチした後にプラスチックや豚の骨などでカニを再構成するスパルタな授業などがありました(笑)。アステールで培った5時間ぶっ続けで描く集中力や、構成力が大学でもそのまま生きました。
大学生活の魅力は「無限に時間があること」です。自分のやりたいテーマを深掘りしたり、地域の教会へインタビューに行ったり、富士急ハイランドをテーマに自主的な広告プロモーション企画を作ったりと、時間を贅沢に使って探求できました。

── 就職活動で電通(プランナー職)から内定を得るまでのプロセスについて教えてください。
モカ:就職活動は厳しく、15社以上落ちて内定が出たのは第一志望の電通だけでした。勝因は大学2年生の時に参加した長期インターンシップだったと思います。外国人留学生と仲良くなるためのアイデアコンペで、周囲が真面目な企画を出す中、私は「焼き芋フェスを開いてみんなで集団でおならをすれば打ち解けられる」というトッピながら検証された企画を提案し、見事個人賞を獲得しました。
常識にとらわれない度胸や表現へのアプローチ、そして完成図に近いビジュアルラフを素早く描ける美大生ならではの強みが評価されたのだと思います。
── 現在の仕事内容と、将来の受験生へのメッセージをお願いします。
モカ:現在は電通で広告プランナーとして勤務しています。CMの企画立案から、SNSプロモーションのディレクション、さらには「噛む動作を認識して音と匂いで満腹感を出す装置」のような新しい体験装置の開発まで、メディアの枠にとらわれず幅広く手がけています。
美大受験の時期は宙ぶらりんで一番苦しく、葛藤も多いと思います。ですが、あの時期に死にもの狂いで思考し、手を動かした濃密な時間は、社会に出てからもずっと自分の根底を支える大きな財産になります。今の時間を大切に、自分だけの強みを見つけて頑張ってください!